店の前に、日替りの料理を書いた板が出ていた。魚の名、その下にソースの名があり、小さく御飯、味噌汁と続いている。
彼女が立ち止まったので、私も足を止めた。ガラス越しに空いた卓が一つ見える。
窓際へ座ると、背中に汗が出てきた。上着を脱いで隣の椅子へ掛ける。彼女は水を飲み、卓の献立をこちらへ回した。
板にあった魚を勧めた。彼女も同じものを選び、御飯だけ少なくしてもらった。
冷房の風で、壁の短冊が一枚動いている。隣では背広の男が、箸でハンバーグを割っていた。
先に味噌汁が来た。
彼女は両手を添えて一口飲む。私の椀は料理の皿を置くあたりにあったので、少し右へ寄せた。
魚は思ったより厚かった。焼き目の脇にソースが溜まり、付け合わせの芋まで薄く浸っている。私はナイフとフォークを取り、彼女は箸の袋を開いた。
皮を下にすると切りやすい、と言いかけた。
彼女はもう魚の端を崩し、一口分を持ち上げていた。
私は身を切ってソースを付ける。酸味のあとから、バターの匂いが戻った。彼女も一口食べ、味噌汁の椀を取った。置いた箸の先に白い身が一片残っている。
途中でフォークを置き、私も椀を取る。
指の当たるところは熱くなかった。口を付けると、汁はまだ熱い。細い葱が唇に触れた。
戸が開いた。
外のぬるい空気が足元へ入り、壁の短冊が止まる。
彼女の皿には、ソースの中に芋が一つ残っていた。箸で二つに分け、片方をこちらへ寄せる。
フォークで受け取った。
魚に付けたときより、酸味が柔らかかった。
会計を済ませて外へ出る。
日替りの板には午後の光が当たっていた。
上着を腕へ掛け直す。
彼女が日陰へ移ったので、私も道の端を歩いた。





